除菌・消毒
2018.04.27

梅雨時は食中毒対策がマスト!お弁当やカレーの作り置きなどに注意

食中毒は家庭の食卓でも起こることがあります。ここでは、梅雨時から夏場に多く発生する食中毒が家庭内のどのようなシーンで起こるのか、また、その原因と対策方法をドクター監修の記事で解説していきます。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

ベッドの上で腹部をおさえている女性

気温も湿度も高い梅雨の時期は食中毒が起こりやすい季節です。食中毒というと、飲食店や給食で起きているイメージがある方も多いと思いますが、家庭での食事や手作りのお弁当でも起こることがあります。食中毒を起こさないために、家庭ではどのような対策ができるのかみていきましょう。

暑い時期の食中毒の多くは細菌によるもの

食中毒とは、食品がウイルスや細菌などの有害物質に汚染され、それを人が食べたり飲んだりすることで発生するものです。一般的には、腹痛や下痢、発熱などの急性胃腸炎のような症状が現れます。食中毒には様々な原因物質がありますが、日本で最も発生件数が多いのはノロウイルスです。年間一万人以上の人がノロウイルスによる食中毒にかかっています。ノロウイルスによる食中毒は一年を通して発生しますが、冬から春にかけて多く発生し、夏には流行しません、

一方、細菌が原因となる多くの食中毒は夏場に流行します。これは、細菌は高温多湿の環境で増殖しやすく、日本の梅雨から夏にかけての時期は細菌が生育するのに絶好の環境であるためです。

この時期に家庭で食中毒が起こりやすいシーンを詳しく見てみましょう。

家庭で食中毒が発生しやすいシーン

料理の作り置き

料理の作り置きは、細菌を増殖させ、予期せず食中毒を起こすことがあります。しっかりと火を通していれば大丈夫と思っている人も多いでしょう。しかし、長時間加熱する煮込み料理でも場合によっては食中毒が発生することがあるので注意しましょう。

食中毒を起こしやすい細菌
ウェルシュ菌

ウェルシュ菌は、生の肉や魚介類に付着しています。ウェルシュ菌は熱に強い芽胞から生まれますが、芽胞は加熱に強く、ウェルシュ菌が全滅しても生き残ります。

また、芽胞やウェルシュ菌は酸素がない環境で増殖します。大きな鍋で煮込んだカレーやシチュー、肉じゃがなどは鍋の底まで酸素が行きわたらず、ウェルシュ菌が繁殖しやすい環境です。ウェルシュ菌は45~50度で最もよく増殖します。煮込み料理を作ったまま放置すると、徐々に温度が下がる鍋の中で増殖し、再加熱してウェルシュ菌を死滅させても、食べごろの温度に下がった頃には生き残った芽胞が再びウェルシュ菌を産生するのです[1]。

このため、ウェルシュ菌は加熱しても食中毒を起こすことがあるのです。特に大きな鍋で煮込んだ料理では、食べた家族全員が発症することもあります。

【対策】

  • 小分けに保存して、ウェルシュ菌が酸素に晒される機会を増やす。
  • 空気を含ませるために、調理中や再加熱の時は鍋の底から全体を混ぜ合わせる。
  • 料理後は速やかに冷蔵庫で保管し、なるべく早く食べきる。
  • 再加熱を十分に行い、50度以下になったものは早めに食べきる。

手作りのお弁当

特に夏場は多くの細菌がお弁当の中で繁殖して、食中毒を起こしやすくなるので注意しましょう。

食中毒を起こしやすい細菌
黄色ブドウ球菌など

手作りのお弁当で最も問題になるのは、黄色ブドウ球菌が付いた手で作ったおにぎりやサンドイッチなどです。

黄色ブドウ球菌は、傷口や鼻の中にいる細菌です。菌が付着した手でおにぎりやサンドイッチなどを作ると、それらを汚染してしまう可能性があります。また、お弁当には前日の残り物や作り置きの食品を入れることも多いです。調理してから時間が経過した食品には大量の細菌が含まれていることがあり、食中毒の原因になります。

【対策】

  • おにぎりやサンドイッチは、ラップや使い捨て手袋を使用して作る。
  • できるだけ時間が経っていないおかずを入れる。

魚介類・肉・卵などの生食

生の魚介類や魚、卵などには多くの細菌が潜んでいます。ウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌を除くほとんどの細菌は、加熱によって食中毒を防ぐことができます。しかし、私たちの食生活には寿司や卵かけご飯など、生で食べるものも多くあります。魚介類や肉、卵などを生食するときには、食中毒を起こさないように注意しましょう。

食中毒をおこしやすい細菌
カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌など

鮮度が落ちた魚介類・肉・卵は、細菌が食品内で増殖しており、生食すると食中毒を起こしやすくなります。また、牛肉以外の肉は半生の状態でも食中毒を起こすことがありますから調理方法にも注意しなければなりません。

【対策】

  • なるべく新鮮な食材を選ぶ。
  • 買ってきた食材は速やかに冷蔵庫で保管する。
  • 牛肉以外の肉は新鮮であっても、中心部までしっかり火を通す。

調理段階での菌の付着

細菌に汚染された食品が触れたまな板や包丁などを介して、他の食品に細菌が付着することもあります。

例えば、生肉を切ったまな板と包丁でサラダ用の野菜を切ると、野菜が汚染されてしまいます。生肉は加熱すると細菌を除去することができます。しかし、食品を十分加熱しても、調理段階で他の生食用の食品に菌が付着していては食中毒を防ぐことはできません。食中毒の予防には調理段階からの対策が必要なのです。

食中毒を起こしやすい細菌
大腸菌、カンピロバクターなど

肉や魚介類に付着した細菌が原因となります。調理段階だけではなく、焼き肉やバーベキューでO157に汚染された生の牛肉に触れた箸で、焼き上がった肉を食べて感染することもあります。

【対策】

  • 生食する食材と肉で、まな板シートを使い分ける。
  • 生食するメニューを先に作る。
  • 肉を調理した調理器具はなるべく早く洗う
  • 菜箸と食用の箸は必ずわける。
  • 調理用具は使用後、すぐに洗浄し、アルコールやハイターで除菌する。

食品を食卓に長時間置いておく

加熱後の食材でも長時間、常温に放置することで細菌が繁殖して食中毒の原因になることがあります。仕事や塾で帰りが遅い、家族との食事のタイミングが合わない、などの事情がある家庭では食事を食卓に置いたままにしていることも多いでしょう。このような家庭では適切な食品の管理が必要です。

食中毒を起こしやすい細菌
ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、セレウス菌など

常温放置による食中毒は、様々な細菌で生じます。中でも芽胞や毒素を産生するタイプの細菌は、再加熱によっても除菌することができません。

【対策】

  • 食事は食卓に置かず、冷蔵庫で保管する。
  • 加熱できる料理は十分な再加熱をする。電子レンジだけでは殺菌効果は不十分です。

食中毒を発生させないためには

家庭の中では多くのシーンで食中毒を起こす可能性が存在します。それぞれのシーンで必要な予防対策だけでなく、食中毒を起こさないための基本ポイントもしっかり抑えましょう。ポイントは、食材の選び方と保存の仕方、および除菌・消毒になります。それぞれを詳しく見ていきます。

食材の選び方と保存

食品に付着した細菌は時間が経つと増殖を繰り返します。新鮮な食材でも、正しい保存をしなかったり、時間が経つと食中毒を起こす可能性があります。食材は新鮮なものを選ぶのはもちろんのこと、正しい保存をして鮮度がよいうちに食べきりましょう。

買い物時のポイント
食品は数日以内に食べられる量を購入しましょう。特に魚介類や肉、野菜は新鮮なものを選び、消費期限などのチェックも忘れてはなりません。
購入した魚介類や肉は、パックから水分が漏れないように備え付けの小分け袋にいれて持ち帰ることも大切です。

特に夏場は食品の持ち歩き中に細菌が増殖しやすくなります。買い物はなるべく手早くし、徒歩や自転車で行くときは、ドライアイスや氷で食材を冷やしながら帰宅するとよいでしょう。
保存時のポイント
食中毒の予防には、食材の正しい保存も大切です。冷蔵や冷凍が必要な食品は、購入後すぐに冷蔵庫にしまいましょう。冷蔵庫は詰めすぎたり、温かいものを入れると温度に上がってしまうことがあります。冷蔵庫は7割程度を目安に、食品の買い置きは控えましょう。
多くの細菌は-15度前後で増殖が停止しますが、完全に死滅するわけではありません。特に調理済みの食材は細菌が含まれている可能性が高いです。冷凍保存しておけば安心と過信せず、なるべく早く食べるようにしましょう。

冷蔵・冷凍保存が必要ない食材は、湿気や水漏れなどがない清潔な場所に保管することも大切です。細菌は水分の多い環境を好みます。保存中は水分や湿気をブロックすることがポイントです。床への直置きも、精勤に汚染される可能性がありますので控えましょう。

食中毒を防ぐ除菌・消毒方法

食中毒予防の基本は、食品に付着した細菌を加熱や冷凍によって除菌すること、食品に細菌を付着させないことに尽きます。次の対策で細菌をしっかりブロックしましょう。

手洗いの徹底
私たちの手や指には目に見えない細菌がたくさん付着しています。手指に付着した細菌で食品を汚染しないよう、調理の前、食事の前、作り置きした食品を扱う前には必ず手を洗う習慣を身につけましょう。
細菌をしっかり洗い流すには、流水での洗浄だけでは不十分です。石けんをよく泡立て、指や爪の間にも泡を行きわたらせ、溜まった汚れや細菌を洗い流しましょう。可能であれば、二度洗いをし、手洗い後はアルコールで手指消毒をするのもポイントです[2]。

手洗いは食中毒対策だけでなく、すべての感染症対策の基本です。正しい手洗いができているか、確認してみましょう。
十分に加熱する
一部の細菌を除いて、加熱をすれば菌を死滅させることができます。除菌に必要なめやすは、75度・1分以上の加熱です。火は食材の中心部までしっかり通すようにしましょう。
また、電子レンジの加熱にはムラがあります。除菌に必要な温度にならない部分もあり、除菌効果は十分ではありません。加熱するときは、鍋などで食品全体にしっかり熱を通すことが大切です。
食卓やキッチン、流し台、食器、調理器具の除菌・消毒
食材や調理した食品に細菌を付着させないために、食卓やキッチンの除菌・消毒は非常に重要です。以下のことに注意して、衛生的な食環境を維持しましょう。
  • 水分があると細菌が繁殖しやすくなるため、水分をこまめに拭き取る。
  • 除菌・消毒用のスプレーやシートを活用する。
  • 食器や調理器具、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で洗う。
  • 調理道具は漂白剤のつけおきや熱湯をかける、煮沸などの消毒を行う。
  • 肉を調理した調理器具はなるべく早く洗う

参考文献

  1. [1]国立感染症研究所. "ウェルシュ菌感染症とは" 国立感染症研究所. _https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/324-c-perfringens-intro.html_(参照2018-04-06)
  2. [2]東京都衛生局 生活環境部 食品保健課. "洗浄・殺菌に関する実験結果" 東京都福祉保健局. http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/rensai/files/jikken10.pdf(参照2018-04-06)

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