除菌・消毒
2018.03.26

ノロウイルスの除菌・消毒方法

冬に流行することが多く、感染力が非常に高いノロウイルスについて、基本的な除菌・消毒方法をご紹介します。ノロウイルスは感染者の吐しゃ物や便に大量に含まれているため、適切な方法ですばやく汚物を取り除くこと、次亜塩素酸ナトリウムなどできちんと消毒することが有効です。

インフルエンザとともに、冬は特に注意が必要なノロウイルス感染症。特に家族など身近な人が突然発症したら、どう対応すべきか迷ってしまいますよね。ここでは、ノロウイルスの特徴や感染被害を防ぐポイント、汚物の処理や消毒・除菌方法について具体的に解説していきます。

身近でノロウイルス感染者が出たら?ノロウイルスの特徴

食中毒の原因ウイルスであるとともに、人から人へと感染するおそれもあるノロウイルス。このウイルスに感染し発症すると、発熱や激しい嘔吐(おうと)、腹痛、水のような下痢など、急性胃腸炎の症状があらわれます。たいていの場合1日から2日で改善しますが、嘔吐や下痢が続いて脱水症状を起こすこともあるため、子供やお年寄りは特に注意が必要です。

ノロウイルスの感染力

ノロウイルスは人の小腸で増殖し、ふん便や吐しゃ物とともに大量に排泄されます。以下のように感染力がとても強いことで知られ、特に病院・学校など公共の場での集団感染や、家庭内での二次感染が懸念されます。

  • 少量のウイルス(100個程度)でも感染・発症のおそれがある
  • かかっても長期免疫を獲得できないため何度でも感染するおそれがある
  • ウイルスは熱・乾燥に強く、生存期間も長い
  • アルコールやエタノールでは消毒できない

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスはカキなどの二枚貝を加熱が不十分なまま食べたり、ノロウイルス感染者の吐しゃ物やふん便

を口や鼻から取り込むことによって感染します。主な感染経路として、以下のようなものがあります。

  • 経口感染:汚染された食べ物から感染
  • 接触感染:吐しゃ物やふん便に触れた手を媒介することで感染
  • 飛沫感染:吐しゃ物の飛沫などを吸入して感染

上記のほかにも、感染者の吐しゃ物やふん便の処理が適切に行われないときなどに、残存していたウイルスを含んだ小さな粒子が空気中に舞い上がり、口や鼻から吸入することで感染することがあります。これを「空気感染」の一種である「塵埃感染」と捉えることもできます[1]。

また、人によっては感染していても嘔吐や下痢といった症状が出ないままに便からノロウイルスを排出し続けていることもあり、これを「不顕性感染」と言います。食品を扱う職業の人や家庭で調理を行っている人は特に気をつけ、日ごろから石けんで手洗いを徹底し、流行期はマスクを着用するなどの対策を行いましょう。

ノロウイルスの予防・対策法については、『ノロウイルスの予防・対策|どんな方法?予防接種はある?』をあわせてご覧ください。

ノロウイルスの除菌・消毒方法

「ノロウイルスの感染経路」の項で見てきたとおり、ノロウイルスは複数の経路から感染にいたる可能性があります。家庭での二次感染や集団感染を防ぐには、ふん便や吐しゃ物を適切に処理し、汚染された場所をきちんと消毒することが大切です。

たとえ吐しゃ物が乾燥してもノロウイルスは生きており、空気中に舞い上がって感染を引き起こすことがあります。吐しゃ物は放置せず、すみやかに処理しましょう。

ノロウイルスの除菌・消毒に用いられる薬剤

ノロウイルスの除菌・消毒には、アルコールやエタノールではなく次亜塩素酸ナトリウムを使用します。次亜塩素酸ナトリウムは薬局やドラッグストアなどで入手することができる消毒薬であり、消毒する場所によってそのつど水で薄めて使用します。以下は5%原液の希釈方法です[2]。

  • ふん便や吐しゃ物で直接汚染された場所の消毒:1lの水に原液20mlを加える(濃度1000ppm)
  • 衣類や器具のつけ置き:1lの水に原液4mlを加える(濃度200ppm)
  • ドアノブや手すり、トイレの便座の消毒:1lの水に原液4mlを加える(濃度200ppm)

次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用の塩素系漂白剤などにも配合されています。また、二酸化塩素液を配合した除菌スプレーでもノロウイルスの除菌が可能です。

次亜塩素酸ナトリウムや塩素系漂白剤は直接手にすり込むなどして消毒はできません。また、酸性の洗剤と混ぜると塩素ガスが発生しますので、取り扱いには十分注意し、使用後は換気を行いましょう。

状況に応じた除菌や消毒のポイント

ノロウイルスで汚染された場所の消毒は、次亜塩素酸ナトリウムなど消毒薬を使用するほか、85℃以上の熱消毒を1分以上続けるのも効果的です[3]。以下では、具体的な除菌・消毒方法について見ていきます。

吐しゃ物・ふん便の処理と汚染された場所の消毒
床に飛び散った吐しゃ物やふん便を処理する際は、あらかじめ使い捨ての手袋やマスク、ガウン(またはエプロン)、靴カバーなどを着用します。
ウイルスが飛び散らないようペーパータオルで汚物を慎重に拭き取ってから、新しいペーパータオルを床に敷き、次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm)をかけて10分ほど浸します。消毒が終わったら床を水拭きしましょう。使い終わった手袋やマスク、ガウン、カバーなどは汚れを拭き取ったペーパータオルとともにビニール袋に入れ、しっかり口を閉じて廃棄します。できれば内容物が浸るように、次亜塩素酸ナトリウム(濃度1000ppm)を入れるとよいでしょう。

ノロウイルスの感染者が約1mの高さから床に嘔吐した場合、吐しゃ物は半径2mもの範囲に飛散するといわれています。汚物の拭き取りは周囲に塗り広げないよう丁寧に、また消毒は、できるだけ広範囲に行いましょう。
汚物がついた衣類や、感染者が使ったタオルなどの除菌・消毒
便や吐しゃ物が付着した布製品は、ウイルスが飛び散らないよう慎重に汚物を取り除いてから、洗剤を入れた水に入れて静かにもみ洗いを行います。このとき、しぶきがかからないよう気をつけましょう。
もみ洗いをした布製品は85℃のお湯で1分以上熱水洗濯をするか、次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm)に浸して消毒してから十分にすすぎ、できれば高温の乾燥機にかけます。布団などすぐ洗濯できないものはよく乾燥させてから、スチームアイロンや布団乾燥機を使ってよく加熱しましょう。

身近に感染者がいる場合、タオルなどの共用は避けるとともに、洗濯や消毒も分けて行いましょう。また、学校や公園など外で衣類を汚してしまった場合はその場で洗うのではなくビニールに入れて密封して持ち帰り、上記のような方法で洗うとよいでしょう。
感染者が使った食器類の除菌・消毒
感染者が使用した食器やカトラリーは、他の家族の分とは分けて取り扱いましょう。使った後すぐに次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm)に浸し、消毒してから洗剤で洗います。嘔吐後にうがいをした場所なども次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒しておきましょう。
感染者がいる環境の除菌・消毒
感染者が触ったドアノブや手すり、吐しゃ物の飛沫が飛んだカーテンやカーペット、日用品などからノロウイルスが検出されることがあります。除菌・消毒が必要な場所は次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm)や二酸化塩素液で拭き清めましょう。
カーテンやカーペットは高温のスチームアイロンで加熱するのもよいでしょう。1箇所につき2分程度、十分に加熱しましょう。

ノロウイルスには現在のところ、特効薬や有効なワクチンはありません。ウイルスの特性や除菌・消毒方法をあらかじめ把握し、いざというときあわてずに対処できるよう備えておきましょう。

参考文献

  1. [1]国立感染症研究所 感染症情報センター."ノロウイルスの感染経路"国立感染症研究所 感染症情報センター. http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/0702keiro.html(参照2007-02-16)
  2. [2]広島市 健康福祉局 衛生研究所 生活科学部. "消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)" 広島市. http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1265935032756/index.html(参照 2018-03-09)
  3. [3]厚生労働省. "ノロウイルスに関するQ&A" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

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