除菌・消毒
2018.04.27

カビの除去&予防法|気になるカビの臭いやアレルギー対策に!

日本の梅雨から夏は湿気が多く、家の中のさまざまな場所でカビが繁殖しやすくなります。カビにはわたし達のからだに悪影響をおよぼすものがいます。カビによる人体への影響と防ぐための除去や予防法について説明します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

エアコンのフィルターを取り外している手元

暑くなってきてエアコンをつけてみたらカビ臭い、食べ物にいつの間にかカビが生えていたなどの経験がある人は多いでしょう。カビは真菌という菌の一種で、食中毒やアレルギー、呼吸器系の病気を引き起こす原因となることがあります。ここでは、カビによって起こる症状を紹介し、カビの除去や予防方法を解説します。

身近に起こるカビの影響と除去方法

わたし達の生活の中でカビは身近な存在です。カビにはチーズの熟成やペニシリンなどの抗生物質の素となり、生活の中に役立つものもありますが、アレルギーや感染症、中毒を引き起こしたり、最近ではカビの臭いがシックハウス症候群の原因となるとの意見もあります[1]。

カビは、繁殖しやすい条件が整っていれば家の中のあらゆる場所で発生します。カビが人体に引き起こす影響と、その対処方法を詳しく解説します。

アレルギー

カビはアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因となる物質)となることがあります。すべての人がカビでアレルギーを起こすのではなく、カビに対して過剰に免疫が作用する人が発症します。症状の出方は人それぞれで、鼻水や目のかゆみ、蕁麻疹などの一般的な症状のみのこともあれば、激しく咳込んで気管支喘息やアナフィラキシーを引き起こすこともあります。

対処方法
家の中でカビが発生しやすいのは、押し入れやクローゼット、納戸などの湿気がこもりやすい場所です。また、キッチンや洗面所、浴室、結露が多い窓などは水分が豊富でカビの餌となる汚れが多く、繁殖しやすい場所です。
湿気がこもらないように定期的な換気を行い、新鮮な空気を取り込むことが重要です。換気扇がある部屋ではできるだけ長い時間、換気扇を回しておきましょう。除湿器や除湿剤の活用も有用です。また、水分が多い場所は使用後に軽く拭き取ってから換気をするとよいでしょう。蛇口付近の水垢や石けんカスなどもふき取り、清潔に保つことも必要です。

肺真菌症

空気中に舞ったカビを吸い込むことで、カビが肺に定着して病巣を作る疾患です。通常の免疫力がある人では、カビを吸い込んだだけで肺真菌症を発症することはありません。子どもや高齢者、持病のある免疫力が弱い人に起こりやすい感染症です。最も多いのがアスペルギルスによるもので、他にはカンジダ、クリプトコッカス、ムコールを合わせて肺真菌症の四大原因といいます。

症状は発熱やせき、たん、倦怠感、呼吸困難などです。症状が他の呼吸器疾患と似ているため、肺真菌症と診断されるのに時間がかかることもあります。

対処方法
肺真菌症の原因となるカビは、ほこりや土中に常在しており、生活の中から完全に排除するのは困難です。なるべく、ほこりが多く舞うような倉庫や屋根裏部屋へ行くのは控えましょう。どうしても立ち入る用事があるときは、N-95マスクのようなカビの胞子が通過しないマスクの着用をおすすめします[2]。
また、エアコン内でカビが増殖し、その空気を吸い込むことで感染することもあります。エアコンは毎シーズンごとに内部までしっかり洗浄し、清潔に保つことが重要です。

病気や投薬によって免疫力の低下が予想される人は、ガーデニングなどの土いじりも控えた方が無難です。

カビ毒(マイコトキシン)

カビ毒(マイコトキシン)とは、主に穀物やトウモロコシ、落花生などの食品に付着しています。食品を介して人体に取り込まれると、急な下痢や嘔吐、腹痛などが生じます。また、長期間取り込んでいると発がん性があるともいわれており、注意しなければなりません。マイコトキシンは約300種ありますが、代表的なものはアフラトキシンやパツリンなどです。

対処方法
日本国内で出回っている食品には、食品衛生法に基づいてアフラトキシンなどの基準値が定められています。国内で購入した食品を食べてマイコトキシン中毒になることはほぼないと考えてよいでしょう。しかし、トウモロコシや落花生などは高温多湿の場所で保管すると、カビが増殖し、マイコトキシンが発生することも考えられます。カビ自体は加熱で死滅しますが、マイコトキシンは加熱で減少しないものもありますので、湿度の少ない衛生的な場所で保管するようにしましょう[3]。
また、東南アジアやアフリカなどへ旅行したときはこれらの食品に注意しましょう。

カビの臭いによるシックハウス症候群

カビが産生する揮発性の有機物とカビの主成分の一つであるβ-D-グルカンは刺激性があり、人が吸い込むと呼吸器などに悪影響を及ぼします。明確なメカニズムは解明されていませんが、これが原因でシックハウス症候群を引き起こすことがあると考えられています[4]。代表的なものでは、一般的に黒カビと呼ばれるクラドスポリウムやアスペルギルスなどが挙げられます。

対処方法
家の中では湿度が高く、密閉された押し入れや納戸、下駄箱などでカビの臭いが発生します。特にほこりが溜まった状態では、カビが繁殖して臭いが強くなります。定期的に換気を行い、除湿器や除湿剤を使用するのもおすすめです。また、ほこりがたまらないように日頃から清潔にしておきましょう。

水虫(白癬)

水虫は、皮膚糸状菌というカビの感染症です。皮膚糸状菌は、ケラチンという物質を好みます。そのため、ケラチンが多い皮膚の表層に感染します。湿度が高く、汗などの栄養源が多いところに発生し、最も多いのは足の指の間です。特に以下のような状況で発症しやすくなります。

  1. 長時間、靴や靴下を履き続け、足が蒸れている。
  2. 洗浄が不十分で清潔に維持できていない。
  3. 足に傷がある。
  4. 家庭内に感染者がいる。
対処方法
靴は数足を履きまわして湿気が籠ったまま履かないようにし、定期的に靴を脱いで蒸れを解消することが必要です。また、入浴時にはよく泡立てた石けんで、なでるように足の指の間までしっかりと洗浄しましょう。ゴシゴシ洗いすぎると、皮膚に小さな傷ができ、皮膚糸状菌に感染しやすくなります。
家庭内に感染者がいるときは、タオルや足ふきマット、スリッパなどの共用は避けましょう。

皮膚糸状菌は髪の毛やほこりに紛れて、床にも潜んでいることがあります。掃除の際は隅々まで丁寧に掃除機をかけることも大切です。

カンジダ症

カンジダは口や肺、性器などいたるところに感染します。カンジダは人体に常在しており、女性の膣カンジダを除いて、通常の免疫力がある人は感染したとしても発症しません。口腔カンジダやカンジダ肺炎などはHIV感染症や白血病などの免疫力が正常に機能しなくなる病気にかかった場合、初発症状として発症することがあります。

一方、膣カンジダは、過度な疲れや睡眠不足で免疫力が低下したり、ホルモンバランスが乱れると発症します。カンジダは膣内に常在しているため、一度治っても再発を繰り返すのが特徴です。膣カンジダ症は以下のような状況で発症しやすくなります。

  1. 疲労が溜まっていたり睡眠不足で休息が十分に取れていない
  2. 月経前後
  3. 高温多湿で汗をかきやすい
対処方法
口腔カンジダやカンジダ肺炎などは病気や投薬が原因のことが多く、生活の中で改善することは難しいでしょう。
膣カンジダは、良質な睡眠の確保やバランスの取れた食事、通気性の良い下着の着用とこまめに生理用品を交換して外陰部の蒸れを防ぐなどの対策があげられます。

カビの発生を予防する

特に梅雨から夏にかけては家の中でカビが発生しやすくなります。カビによる健康被害を防ぐには、日ごろからカビが発生しないように対策しておくことが何よりも大切です。

湿気予防

カビの増殖には適度な湿度が必要なため、湿気予防は重要です。

  • 室内の換気をこまめに行う
  • 押し入れ、納戸、下駄箱などは定期的な換気および除湿剤の活用がおすすめ
  • キッチンや浴室などの水回りは使用後には残った水滴をふき取る
  • 湿度が高い時期の洗濯物の室内干しは控える。室内干しをする必要があるときは除湿機や除湿剤を置く

ホコリ予防

ホコリにはカビの胞子が含まれていることがあります。また、毛髪やダニの糞、フケなどカビの栄養源となる物質が多く含まれています。このため、ホコリが多い場所ではカビが増殖しやすく、カビ対策にホコリの除去は欠かせません。

  • 部屋の隅や家具の下や裏までしっかりと掃除機をかけたり、履き掃除を行う
  • 背の高い家具の上は定期的に拭き掃除を行う

その他の予防法

カビは日光、熱、乾燥に弱い性質を持ちます。キッチンやお風呂場のスポンジ、まな板、ふきんなどの水まわり用品、靴やたまにしか着ない洋服などは定期的に天日干しするとよいでしょう。また、スポンジ、まな板、ふきんなどは熱湯消毒や塩素系漂白剤に浸けるのもおすすめです。

参考文献

  1. [1]衛生微生物研究センター. "カビがにおうのはなぜ?" 衛生微生物研究センター. https://kabi.co.jp/kabi.php?k=k10(参照2018-04-11)
  2. [2]千葉大学真菌医学研究センター. "目で見る真菌症シリーズ11" 千葉大学真菌医学研究センター. http://www.pf.chiba-u.ac.jp/medemiru/me11.html(参照2018-04-10)
  3. [3]農林水産省. "かびとかび毒についての基礎的な情報" 農林水産省. http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/kiso.html(参照2018-04-11)
  4. [4]岸玲子ほか. "科学根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)"厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000155147.pdf(参照2018-04-11)

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