ケース別の感染予防
2018.04.27

赤ちゃんのノロウイルス感染|どんな症状?いつまで続く?予防法はある?

赤ちゃんは抵抗力が弱く、ノロウイルスの感染には注意が必要です。赤ちゃんがノロウイルスに感染したときの症状や注意したい点などを解説します。また、感染しないための予防方法もドクター監修のもと紹介します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

診断されている赤ちゃん

赤ちゃんが嘔吐や下痢などを起こしたとき、ノロウイルスに感染したのではと心配になるお母さんは多いと思います。ノロウイルスは年代を問わず感染することの多い感染症ですが、赤ちゃんが感染したときはどんな症状がどのくらいの期間出るのでしょうか。

赤ちゃんがノロウイルスに感染したときの症状・期間

ノロウイルスに感染してから症状が現れるまでの時間は24~48時間です。一般的には、突然の嘔吐で発症し、続いて下痢が現れます。下痢の程度は様々ですが、赤ちゃんは重症化しやすく、水様便が大量に出ることが多いです[1]。さらにひどくなると、便の色がクリーム色になることがあります。これは、ノロウイルスに感染したことで胆汁の分泌が一時的に悪くなることや、脂肪分が吸収されず、そのまま便として排出されることが原因であると考えられています。

また、38度前後の熱が出ることもありますが、下痢や嘔吐の症状の重さに比べると高熱になることは少ないのも特徴です。

大人の場合、多くは1~2日ほどで自然に治ります。しかし、小さな子どもの場合には抵抗力が弱いため、症状が長引いたり重症化することがあります。赤ちゃんは月齢によって症状が続く期間が異なりますが、目安としては以下のようになります。

  • 生後0~6か月:4.5日
  • 生後7~11か月:7日
  • 1歳:7.5日
  • 2~5歳:3.5日

特に生後7か月から2歳未満の子どもは症状が長引きやすい傾向にあります。一方、生後6か月以下の赤ちゃんは、お母さんのお腹の中で胎盤を通してもらった免疫が残っているため、生後7か月から2歳未満の子どもより症状は軽く済むことが多いです。

赤ちゃんが感染したときに注意したいこと

赤ちゃんは自分で症状を訴えることができないため、ちょっとした体調の変化を見逃しやすいものです。いつもより不機嫌であったり、元気がない、母乳や離乳食の量が減ったなどのサインは要注意です。以下のようなケースに気をつけましょう。

嘔吐物をのどに詰まらせる
ノロウイルスは突然の嘔吐で発症することが多く、赤ちゃんはえづくことがうまくできず、嘔吐物をのどに詰まらせてしまうことがあります。
脱水症状
高熱になることは少ないものの、赤ちゃんは中程度の発熱が数日続いただけでも脱水症状になりやすいものです。さらに嘔吐や下痢による水分の喪失で脱水症状が加速しやすい状態ですから注意が必要です。ノロウイルスには治療薬(抗ウイルス薬)がなく、脱水症状がひどい場合には点滴によって水分を補給する対症療法を行います。。重症な脱水症に陥る前に適切な処置を行うため、ぐったりしていて唇や舌が渇いているなどの症状が見られた場合には早急に病院へ行くようにしましょう[1]。
症状がなくても長期間ウイルスを排出
ノロウイルスは症状がなくなっても通常は2週間程度、便と共に体内に残ったウイルスが排出されます。生後6か月までの赤ちゃんは、ウイルスを排出する能力が低く、1か月以上便にウイルスが排泄されることもあります。ノロウイルスは感染力が強く、少量のウイルスだけでも感染してしまうことがありますので、おむつ交換のときに使い捨ての手袋やマスクをするなどの感染対策をしっかり行いましょう。
ノロウイルスが流行りやすい冬は赤ちゃんの変化には敏感に対応するように心がけましょう。

赤ちゃんがノロウイルスにかからないようにするには

ノロウイルスには予防接種がなく、感染予防を徹底する以外に発症を防ぐことはできません。赤ちゃんはノロウイルスに感染すると大人よりも重症化し、症状も長引きやすいものです。ですから、しっかりと感染対策を行って赤ちゃんをノロウイルスから守ることが重要となります。

まずは家族が感染しないことが大切

まず大切な感染予防は、家の中にウイルスを持ち込まないことです。そのためには、家族がノロウイルスに感染しないことがポイントになります。ノロウイルスは基本的には飛沫感染と接触感染によって感染します。飛沫感染は、感染者のウイルスが含まれた咳やくしゃみの飛沫を他の人が吸い込むことで感染するものです。また、接触感染は、感染者の飛沫や便に含まれたウイルスが感染者の手指を介してドアノブや電気スイッチなどに付着し、そこを他の人が触ることで感染します。これらを防ぐには以下の方法があげられます。

マスクの着用
感染者のくしゃみやせきなどの飛沫をブロックするのに有効です。
手洗い
手指に付着したウイルスを体内に取り込んでしまう前に洗い流すことです。特に手洗いはどの感染症対策においても基本になる予防策であり、こまめな手洗いは非常に重要です。また、手洗いの後にはアルコールで手指の消毒をすることも効果的です[2]。
食品の十分な加熱
ノロウイルスはカキなどの二枚貝にも含まれていることがあり、十分な加熱をしないまま食べると感染してしまうことがあります。冬は特に生ガキがおいしい時期ですが、赤ちゃんのためにもカキを食べるときは85~90度の温度で90秒以上の加熱をしてしっかり火を通すようにしましょう。

家族がノロウイルス感染してしまったときは除菌・消毒で対策

次に重要な感染対策は、家の中にウイルスを持ち込んでしまったとしても、赤ちゃんに感染してしまう前にしっかりと消毒を行って、ウイルスを排除することです。家族がノロウイルスに感染してしまった場合、家の中のウイルスを完全に排除することは難しいですが、適切な消毒や吐物、便の処理を行うことで感染拡大の可能性は大幅に低くなります。

ノロウイルスの嘔吐や下痢は突然やってくるため、予期せぬ場所で嘔吐や下痢をしてしまうことがあります。家庭内でのノロウイルス感染の一番の原因は、このような吐物や便の処理が適切に行われていないために生じます。

ノロウイルスは乾燥した室内では吐物や便からウイルスが舞い上がり、空気中にウイルスが漂った状態となるため、同じ空間にいるだけで感染してしまう可能性があるのです。この感染を防ぐ方法を以下で説明します。

感染者の吐物や便を処理するときの注意点
マスク、使い捨ての手袋やエプロンを着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないようにペーパータオルで素早く覆い、その上から次亜塩素酸ナトリウム溶液をたっぷり浸してふき取るようにしましょう。また、ふき取った後は再び次亜塩素酸ナトリウム溶液で二度目の消毒を行います。一般的なウイルスや細菌はアルコールで消毒できますが、ノロウイルスにはアルコールが効きませんので、必ず塩素系漂白剤である次亜塩素酸ナトリウムを薄めて使用しましょう[2][3]。
感染者の手が触れやすい場所の消毒
ドアノブや電気スイッチ、手すり、便座などはこまめに消毒を行うことも必要です。タオルや食器などは共有せず、感染者の使用後は次亜塩素酸ナトリウム溶液に漬け置いて消毒するとよりよいです。
空気中のウイルスの除去
適切な処置ができていないと、ノロウイルスは空気中に拡散されてしまいます。吐物や便は乾燥しないうちにすぐに処理し、処理した後は十分に喚気を行うことが感染防止には重要です。

空気中のウイルスや細菌の除去に関しては『空間除菌の効果・仕組み』のページも参考にしてみてください。

参考文献

  1. [1]国立感染症研究所 感染症情報センター. "ノロウイルス感染症とその対応・予防(家庭等一般の方々へ)" 国立感染症研究所. http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/taio-a.html(参照2018-04-02)
  2. [2]内閣府 食品安全委員会. "ノロウイルスの消毒方法" 食品安全委員会. http://www.fsc.go.jp/sonota/dokukesi-norovirus.html(参照2018-04-02)
  3. [3]厚生労働省. "ノロウイルスに関するQ&A" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html(参照2018-04-02)

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