ケース別の感染予防
2018.04.27

受験生の敵!インフルエンザ徹底対策は日々の意識と予防接種

インフルエンザにかかってしまうと数日間外出禁止になったり、療養中は試験勉強が停滞することにもなるので、受験生やその家族にとっては絶対に感染したくないものでしょう。インフルエンザの対策方法をご紹介します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

授業でメモをとっている学生の手元

冬が近づくと毎年インフルエンザが流行します。受験を控えた方や、家族に受験生がいる方は、ちょうど受験の時期にインフルエンザの流行が重なるので、かかってしまっては大変と心配になりますよね。受験生をインフルエンザから守る対策方法を紹介します。

受験生をインフルエンザから守る3つのポイント

インフルエンザは毎年冬の始まりから春を迎える頃までに大流行します。全国各地で学級閉鎖や保育施設の休園などが相次ぎ、私たちは自分や家族が感染しないか常に冷や冷やするものです。特に受験生がいる家庭では、いつも以上に警戒することでしょう。

そんな中、受験生をインフルエンザから守るには、以下の3つのポイントをおさえることが大切です。

  1. ウイルスを徹底ブロック!体内に入れさせない
  2. 予防接種は受けるタイミングが重要
  3. 家族みんなで予防法を実践!感染からガード

この簡単な3つのポイントをしっかりおさえ、受験生が万全の態勢で試験に挑めるようにサポートしましょう。では、それぞれどのような対策をすればよいのかを詳しく解説します。

ウイルスを徹底ブロック!体内に入れさせない

インフルエンザはウイルスの飛沫感染と接触感染によって体内に入り込みます。飛沫感染とは、ウイルスが含まれる感染者のせきやくしゃみの飛沫を、近くにいる人が吸い込んでしまうことです。一方、接触感染とは、飛沫が付着したドアノブやスイッチなどを他の人が触って、体内に取り込んでしまうことです。

どちらの感染様式でも、ウイルスはいとも簡単に私たちの体内に入り込んでしまうものです。特にインフルエンザが大流行する時期には、電車の中やスーパーなど不特定多数の人が集まる場所では、常に感染の危険に晒されていると考えた方がよいでしょう。インフルエンザの予防対策で最も大切なのは、ウイルスをブロックして、体内に入れないことです。そのために以下のことを確実に行いましょう。

マスクの着用
ウイルスがたっぷり含まれた飛沫は、マスクでブロックすることができます。受験生は、電車やバスといった公共の交通機関を使って塾や合格祈願、願書提出などに出かける機会があります。人ごみの中には、インフルエンザに感染している人がいるかもしれません。外出時には常にマスクを着用してウイルスの侵入をブロックしましょう。また、マスクの表面にはウイルスが付着している可能性があります。帰宅後は表面に触れず、すぐに捨てることも忘れてはなりません。
手洗い
ウイルスが手や指に付着したとしても、体内に入り込む前にしっかり洗い流せば感染を防ぐことができます。帰宅したときや、外出先でもこまめに手洗いをするようにしましょう。手洗いは、流水だけではウイルスを完全に除去することはできません。できるだけ石けんを使い、手洗いの後にはアルコールで手指消毒をするとよいでしょう。
加湿
インフルエンザウイルスは、湿度が50%以上あると活性が弱くなります。ですから、適度な湿度を保てばウイルスが弱体化して感染力を低下させることができるのです[1]。また、のどや鼻の粘膜にはウイルスをキャッチして体外に排出するための線毛という構造があります。この線毛は、乾燥すると働きが鈍くなります。入り込んできたウイルスを外へ追い出すためにも、適度な湿度は非常に重要なのです。しかし、冬は空気が乾燥しやすい季節です。加湿器や濡れタオルなどを使って、室内の乾燥を予防しましょう。
空気中のウイルス除去
乾燥した狭い室内では、飛沫に含まれるウイルスが水分を失って空気中を漂い、その室内にいる人が空気を吸い込んだだけで感染する可能性があります。
対策として必要なのは、空気の入れ替えをして空気中のウイルスを除去することです。寒い時期に抵抗があるかも知れませんが、2時間に一度は窓を開けてしっかり換気を行いましょう。また、換気扇がある部屋では常に回した状態にしておくのもおすすめです。

予防接種は受けるタイミングが重要

インフルエンザウイルスにはワクチンがあり、予防接種することが可能です。ワクチンはウイルスの毒性を弱めたもので、体内に注入されると、そのウイルスに対する抗体が作られます。一度抗体が作られると、そのウイルスに対する免疫ができます。そのため、ウイルスが侵入したとしても、抗体が即座にウイルスを攻撃し、発症を防いだり、症状を軽くしたりする効果があるのです。

予防接種を受ける時期
ワクチンを接種して体の中に抗体が作られるまでに、少なくとも2~3週間はかかります。また、一度の接種でインフルエンザに対する免疫効果は五か月ほど続くといわれています[2]。インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、1月末~3月上旬が流行のピークです。ですから、流行が始まる前の11月中旬には予防接種を受けておいた方がよいでしょう。それ以降になると、抗体が作られる前に流行が始まってしまう可能性があります。抗体が作られる前に感染した場合、予防接種の効果は期待できなくなりますので注意が必要です。また、11月中旬に受けても翌年の5月頃までは免疫効果は続きますから、受験シーズンも安心して迎えることができます。
100%予防できるわけではない
インフルエンザウイルスには様々なタイプがあり、どのタイプが流行するかはその年によって異なります。日本では、国立感染症研究所が毎年どのタイプのウイルスが流行するか予測を立て、厚生労働省が最終的に決定し、製薬会社がそのタイプに合ったワクチンを製造しています。このため、実際に流行したタイプと予想したタイプが異なることもあり、予防接種が効きづらいという年もあります。予防接種はインフルエンザの発症を予防し、仮に発症したとしても軽症に抑える効果があります。しかし、100%予防することはできません。予防接種を受けたとしても、感染予防はしっかりと続けましょう。

家族みんなで予防法を実践!感染からガード

家族がインフルエンザに感染すると、家の中からウイルスを完全に除去するのは困難です。家庭内は絶好の感染場所となってしまうでしょう。ですから、受験生のインフルエンザ対策には、家族もみんなで予防法を実践することが必要なのです。

家庭にインフルエンザウイルスを持ち込まないためには、受験生だけでなく家族も感染予防を徹底することが大切です。また、予防接種は家族みんなで受けることをおすすめします。さらに、インフルエンザの流行時期はクリスマスや年末年始と重なり、祖父母や親せきなど、普段会わない人と会う機会も多くなります。受験生の息抜きにと、楽しい食事会が開かれることもあるでしょう。しかし、このような場はインフルエンザに感染する危険もあることを肝に銘じておきましょう。体調がよくない人がいるときは訪問を控えたり、来訪を控えていただくようにお願いすることも必要です。

インフルエンザは薬で予防できる?

インフルエンザにはウイルスの増殖を防ぐ薬があります。インフルエンザを発症して48時間以内に投与すると、重症化を防ぐ効果が期待できるものです。これらの薬はインフルエンザを予防する効果もあり、インフルエンザを発症した人と濃厚な接触があり、感染した場合に重症化する恐れのある人に使われます。重症化する恐れのある人とは、高齢者や乳幼児、妊婦、持病がある人など限られています[3]。通常の受験生がこの対象になることはほとんどありません。

家族や友人がインフルエンザに感染したら、何とかして発症を防ごうと、予防薬を飲みたくなる気持ちはわかります。しかし、予防薬の対象にはならない上に、仮に使用したとしても100%予防することはできません。

インフルエンザを予防するには、日ごろからマスクの着用や手洗いなどの予防策を徹底し、適切な時期に予防接種を受けることが何よりも大切です。家族が一丸となってインフルエンザをブロックし、受験生を万全の状態で試験へ送り出してあげましょう。

参考文献

  1. [1]Lowen AC et al. Influenza Virus Transmission Is Dependent on Relative Humidity and Temperature, PLoS Pathog 2007; 3(10): 1470-1476
  2. [2]厚生労働省. "平成29年度インフルエンザQ&A " 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html(参照2018-04-05)
  3. [3]抗インフルエンザウイルス剤タミフルカプセル75オセルタミビルリン酸塩カプセル添付文書(第29版)

今すぐ読みたい

「ケース別の感染予防」の関連情報