一般的な感染予防
2018.04.27

食中毒はどんな食べ物で起こる?原因TOP10と予防方法

食中毒の予防には、食中毒を起こす原因を知り、その原因に対して有効な対策を取ることが大切です。日本における食中毒の原因TOP10を紹介し、それぞれの症状や発生しやすい時期などの特徴、予防法を解説します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

お腹を手でおさえている人

温かい季節になってくると、食中毒が気になる人も多いのではないでしょうか。食中毒の主な症状は、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などです。食中毒を起こさないためにはどんなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、食中毒の原因TOP10を紹介し、どんな食べ物で起きるのか解説します。また、予防方法も紹介します。

食中毒の原因TOP10

食中毒の原因には様々なウイルスや細菌、寄生虫などの病原体がありますが、日本で問題となる食中毒の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。発症人数が多い病原体TOP10について、その特徴と予防方法を詳しく解説します。

第1位:ノロウイルス[1]

最も患者数が多い食中毒はノロウイルスです。潜伏期間は約2日で、突然の嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが現れます。多くは1~2日で自然に回復しますが、赤ちゃんや高齢者など免疫力の低い人は、回復に時間がかかったり、重症化することもあるので注意が必要です。ノロウイルスは人から人へ感染することもあり、感染者が別の人にうつしてしまうことがあので、感染対策を行うときも注意しましょう。

流行時期
11~3月
感染源となる食べ物
カキなどの二枚貝、井戸水など
予防法
ノロウイルスは85~90度で90秒以上加熱すると死滅します。二枚貝には中心部にもウイルスが潜んでいることがありますので、しっかりと中心部まで火を通しましょう。
また、生食する野菜や果物などはしっかりと流水で洗い、調理に利用した器具は次亜塩素酸ナトリウムで漬け置き洗いをしましょう。

調理者が感染している場合には、感染者の手を介してウイルスが食品に付着してしまうこともあります。調理前はしっかりと手洗い、手指消毒を行うことも大切です。

第2位:カンピロバクター[2]

カンピロバクターは、家畜の腸管に多く潜む細菌です。潜伏期間は2~7日と長く、水っぽい下痢や腹痛、嘔吐、発熱などが生じます。症状がひどい時には血便が出ることもあり、重症化しやすい食中毒の一つです。

流行時期
初夏に流行することが多いですが、一年を通して多くの感染者が出ます。
感染源となる食べ物
肉類、生乳、井戸水
予防法
カンピロバクターは熱に弱く、65度以上で数分間加熱すると死滅します。また、肉に触れた手やまな板、包丁などの調理器具からの二次感染も起こしやすい細菌です。生肉を触った後にはしっかり手洗いをし、調理器具は野菜などの生食用のものと分けて、使用後は洗浄・消毒を徹底しましょう。

第3位:ウェルシュ菌[3]

ウェルシュ菌は、自然の土やほこりなどの中に広く存在する細菌です。健康な人の腸の中にも存在します。存在するだけでは人に害を及ぼすことはありませんが、ウェルシュ菌の中でも毒素を発生するタイプのものは食中毒の原因となります。ウェルシュ菌は空気がない環境を好み、毒素を産生する芽胞は熱にも強い性質を持ちます。

潜伏期間は、6~18時間であり、症状は他の食中毒に比べて軽く、軽度な腹痛や発熱、一過性の下痢を起こして自然に治ることがほとんどです。

流行時期
一年を通して
感染源となる食材
カレーやシチューなどの肉が入った煮込み料理
予防法
毒素を産生する芽胞は、100度で6時間加熱しても死滅しません。熱に強く、40~50度で盛んに増殖して毒素を発生します。このため、カレーやシチューなどの煮込み料理を一旦冷まして再加熱したときに大量の毒素が放出されます。
作った煮込み料理はなるべく早く食べるようにし、作り置きの場合は、常温で放置せず小分けにして冷蔵・冷凍保存するようにしましょう。また、再加熱をするときは一度沸騰させ、早めに食べるとよいでしょう。

第4位:サルモネラ[4]

サルモネラは、感染しても症状が出ないことも多く、感染に気付かないまま十分な感染対策をせずに、サルモネラが付着した手を介して人に接触感染させてしまうことがあるので注意が必要です。潜伏期間は平均12時間ですが、6~48時間と幅があります。38度以上の急な発熱と下痢、嘔吐、腹痛が生じ、年齢が若いほど重症となるのが特徴です。大部分は一週間以内に治りますが、ごくまれにサルモネラが原因で死亡することもあります。

流行時期
7~9月
感染源となる食材
肉、卵、マヨネーズ、鶏卵関連商品
予防法
サルモネラは75度で1分以上加熱すると死滅します。肉類を調理するときは中心部までしっかり火を通しましょう。また、サルモネラは鶏卵の殻にも付着しています。卵は必ず冷蔵保存し、生食するときは割りたてのものを食べるようにするとよいでしょう。
また、まな板や包丁を介しての二次感染も問題となるので、生肉を調理したときは手洗いや料理器具の消毒をこまめに行いましょう。

第5位:ブドウ球菌

ブドウ球菌は、感染すると人の腸内で毒素を産生し、それが原因で激しい嘔吐や腹痛が生じます。潜伏期間は1~6時間と短く、細菌性食中毒の中では感染してから最短で症状が現れます。発症時の症状は激しいですが、2~8時間で治ることも特徴です。

流行時期
一年を通して発生している
感染源となる食材
おにぎり、サンドイッチ、折り詰め弁当、シュークリームなどの乳製品
予防法
人の手に付着したブドウ球菌が食品について増殖し、それを食べた人が感染します。ブドウ球菌は化膿した傷や鼻の中に存在し、手に傷があったり、鼻を触った手で直に食品を触るとブドウ球菌で汚染されてしまう可能性があります。調理前の手洗い・手指消毒と手をけがしているときに調理する際には使い捨て手袋の着用が有効です。
また、熱に強く、一般的な細菌のように食前の加熱で予防することはできません。しかし、低温には弱いため5度以下の冷蔵保存で増殖を防ぐことができます。

第6位:大腸菌

大腸菌には多くの種類がありますが、その中の約20種類の大腸菌は食中毒の原因となります。海外旅行者が感染する下痢症で最も多い原因は大腸菌です。潜伏期間は菌の種類によって異なり、1~10日で、発熱や下痢、腹痛などが生じます。症状の程度は、脱水症状になるような激しい下痢が続くこともあれば、ごく軽いものまで様々です。

流行時期
一年を通して発生している
感染源となる食材
井戸水、肉、アイスクリームなどの乳製品
予防法
多くの大腸菌は70度、1分の加熱で死滅するため、食材の十分な加熱で予防することができます。また、二次感染予防としては調理者の手洗い・手指消毒が重要です。

第7位:クドア[5]

クドアはヒラメに寄生する寄生虫です。生のヒラメを食べることで感染し、2~20時間の潜伏期間を経て嘔吐や下痢などが生じます。しかし症状は一過性であり、多くは軽症で特別な治療は必要ありません。

流行時期
9、10月
感染源となる食材
ヒラメ
予防法
クドアは-20度、4時間以上の冷凍または75度、5分以上の加熱で死滅します。焼き魚や煮物などはしっかり中まで火を通し、刺身は一度急速冷凍してから解凍したものを食べるとよいでしょう。

第8位:腸管出血性大腸菌

O-157やO-26などのベロ毒素を産生するタイプの大腸菌です。潜伏期間は4~8日で、他の病原性大腸菌よりも長いのが特徴です。激しい腹痛を伴う水っぽい下痢が頻回に起こり、1~2日で血便になります。発熱の程度は様々です。また、約10%に溶血性尿毒症症候群や脳症などの非常に重大な合併症が起こり、死亡例も多くあります。特に子どもや高齢者は重症になりやすいので注意が必要です。

流行時期
7~9月
感染源となる食材
肉、生乳、生野菜
予防法
腸管出血性大腸菌は75度、1分以上の加熱で死滅します。肉には中心部までしっかり火を通すようにしましょう。また、サラダなどの生野菜は丁寧に流水で洗う必要があります。
腸管出血性大腸菌は低温には強く、冷蔵庫内でも死滅することはありませんので注意しましょう。

第9位:腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは、海水中に広く分布する細菌です。潜伏期間は6~20時間で、発熱や水っぽい下痢、上腹部痛が生じます。激しい下痢を生じることが多く、血便になることもあります。

流行時期
7~9月
感染源となる食材
魚介類、漬物
予防法
腸炎ビブリオは寒さに弱いため、冷蔵庫で保管すれば死滅します。十分な加熱によっても死滅するため、魚介類はしっかり中まで火を通すようにしましょう。
また、塩分の高いところを好むため、魚介類を調理した包丁やまな板を介して漬物の中で増殖することも有名です。調理器具は生食用のものとは共用せず、使用後は洗浄・消毒を徹底しましょう。

第10位:植物性自然毒

キノコやジャガイモなどに含まれる有害物質が原因の食中毒です。自然界には多くの自然毒があり、潜伏期間や症状、重症度はそれぞれ異なります。一般的には、腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状が現れます。

流行時期
自然毒の種類によって異なるが、春や秋などのシーズンに多い傾向
感染源となる食品
キノコ、ジャガイモ、ジギタリス、トリカブト
予防法
自然毒の大部分は加熱や冷却によっても無毒化することはなく、唯一の予防法は原因となる食材を食べないことです。特に山菜取りやキノコ採りが趣味の人は、種類が明らかでないものは食べないように注意しましょう。

このように、食中毒には様々な病原体があり、予防法も異なります。どの時期に何が流行しやすいのかポイントを押さえ、適切な予防を行いましょう。食中毒に関する詳しい情報は、腸の学び舎『食中毒の症状や原因・治療・対策』を参考にしてください。

食中毒予防の基本

食中毒は適切な対策をすることで予防することができます。発症者が多い食中毒TOP10までの対策を紹介しましたが、食中毒には上記以外のものも多く存在します。そこで重要なのが、多くの食中毒に共通する基本対策です。食中毒予防の三原則として、食中毒の原因菌を「付けない、増やさない、殺す」が提言されています[6]。これはすなわち、以下のことを示しています。

  • 手洗いや調理器具の消毒で原因菌の付着を防ぐこと
  • 食品を適切に管理して原因菌の増殖を防ぐこと
  • 加熱、冷凍することで食品に付着した原因菌を死滅させること

これらの基本対策を忘れずに、食中毒を予防していきましょう。

参考文献

  1. [1]大石和徳ほか. "ノロウイルスに関するQ&A (平成28年改訂)" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html(参照2018-04-03)
  2. [2]愛知県衛生研究所. “カンピロバクター食中毒”.愛知県衛生研究所生物部. http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/67f/campylobacter.html(参照2018-04-03)
  3. [3]国立感染症研究所. “ウェルシュ菌感染症とは”.国立感染症研究所. https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/324-c-perfringens-intro.html(参照2018-04-03)
  4. [4]国立感染症研究所. “サルモネラ感染症とは”.国立感染症研究所.https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/409-salmonella.html(参照2018-04-03)
  5. [5]国立感染症研究所. “クドア食中毒総論”. 国立感染症研究所. http://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2119-related-articles/related-articles-388/2240-dj3881.html(参照2018-04-03)
  6. [6]厚生労働省. “食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント”.内閣府大臣官房政府広報室. https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/#anc03

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