一般的な感染予防
2018.04.27

感染症予防のための正しい手洗い方法、時間、タイミングとその効果

手洗いは、インフルエンザやノロウイルスなどの感染予防に有効です。まずはウイルスや細菌が知らない間に手に付着する身近なシーンを紹介し、手洗いの効果を解説します。また、感染予防に効果的な手洗い方法も紹介します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

手を洗っている親子

インフルエンザやノロウイルスなどの感染症は、知らない間にウイルスや細菌が付着したものに手が触れて、その手で食事をしたり、口元を触ったりすることで感染(接触感染)します。手洗いは感染症予防の基本ですが、手洗いの効果や手洗いの方法、また、手洗いをするタイミング、かける時間などについて解説していきます。

手にウイルスや細菌が付着するシーン

感染症の原因となるウイルスや細菌は私たちの身近なところに多く存在しています。インフルエンザやノロウイルスが流行するシーズンでは、あらゆる場所にウイルスが潜んでいると考えてよいでしょう。ほとんどの感染症には潜伏期間があり、感染してから発症するまでにタイムラグがあります。潜伏期間中は症状はありませんが、すでにウイルスや細菌は体の外に排出されています。ですから、まわりに体調が悪そうな人がいなくても、ウイルスや細菌は思わぬところに付着している可能性があるのです。実際、どのようなシーンでウイルスや細菌の付着が起こりやすいのかを見ていきましょう。

電車やバスを利用したとき

公共の交通機関では、不特定多数の人と接することになります。インフルエンザやノロウイルスなどの流行期には、誰がその感染症にかかっているか判断するのは不可能です。また、潜伏期間には全く症状がなくても、ウイルスや細菌を排出していることもあります。ですから、公共の交通機関では近くに感染者がいると、知らない内に至近距離でウイルスや細菌がたっぷり含まれた飛沫を浴びている可能性があります。また、つり革や手すりにも飛沫がかかり、そこに付着したウイルスや細菌に触れてしまうこともあるのです。

お店や施設の手洗いを利用したとき

ノロウイルスなどの感染性胃腸炎はお店や施設のトイレで感染することがあります。感染者の便には大量のウイルスや細菌が含まれています。トイレのふたや便座には感染者の便から飛び散ったウイルスや細菌が付着している可能性があります。また、用便後の感染者の手には、ウイルスや細菌を含んだ微小な便が付着していることがあります。その手でトイレットペーパーホルダーや水洗レバーに触れると、ウイルスや細菌が付着して、不特定多数の人に感染を広げることがあります。

また、最近ではエアータオルによる感染も問題になっています。十分な手洗いをせずにウイルスが付着したままの状態でエアータオルを使用すると、エアータオル内にウイルスが付着することがあります。その状態で次の人が使用すると、風の噴射でウイルスが吹き付けられ、手に付着してしまうことがあるのです[1]。

家の中

家の中でもウイルスや細菌に感染する機会はたくさんあります。特に家族に感染者がいる場合には、家の中からウイルスや細菌を完全に排除するのは困難です。家族に感染者がいない場合でも、流行期には家族が外でウイルスや細菌をもらってくることもあります。その手で家の中のものを触れると、ウイルスや細菌に汚染されることも考えられます。

ドアノブや電気のスイッチ、テーブルやいすなどの人の手が触れやすいところにはウイルスや細菌が付着している可能性が高く、家の中だからといって安心することはできないのです。また、ノロウイルスなどは、ウイルスが付着したタオルから感染することもあります。家族に感染者がいるときや流行期にはタオルの共用は避け、毎日の洗濯も忘れてはなりません。

手洗いの効果

このように、ウイルスや細菌は私たちの身近なところに潜んでいて、あらゆるシーンで触れてしまう可能性があります。手にウイルスや細菌が付着したまま食事をしたり、口元や鼻を触ると体内に入り込んで感染してしまうのです。ウイルスや細菌を完全にブロックすることは非常に困難ですが、体内に取り込んでしまう前に手から除去できれば、感染の危険は大幅に減少できます。そのために最も重要な対策は手洗いです。では、どのようなタイミングで手洗いを行えばよいのでしょうか。詳しく見ていきます。

手洗いを行いたいタイミング

  • 外出から帰ってきたとき
  • トイレの利用後
  • 感染者の看病や世話をしたあと
  • 掃除をしたあと
  • 調理や食事の前
  • メイクやスキンケアをする前

しかし、ウイルスや細菌は思わぬところで触れてしまっているものです。手洗いのタイミングは上記に限らず、気になったらこまめに行うようにしましょう。毎日の手洗いの習慣が、感染症予防の第一歩となります。

家庭でおすすめの手洗い方法

手洗いには様々な方法があり、自己流で行っている人がほとんどです。しかし、感染症予防に適した手洗いを行わないと、ウイルスや細菌は十分に洗い流されません。

東京都福祉健康局が行った手洗いに関する実験では、水よりもお湯の方が洗浄効果が高く、石けんを使うと洗浄効果がかなり高まることが分かりました。また、逆性石けんの使用や手洗い後のアルコール消毒には極めて高い除菌効果が認められています。これらの結果から、家庭での手洗いは以下のことをおすすめします[2]。

  • 40度程度のお湯を使う
  • 石けん(できれば逆性石けん)を使用する
  • 石けん30秒+水洗30秒を2セット行い、十分な時間をかけて二度洗いをする
  • 手洗い後にはアルコールで手指消毒をする

手洗いの手順

手洗いは以下の手順がおすすめです。ぜひ実践してみましょう[3]。

  1. 手をお湯でよく濡らし、よく泡立てた石けんの泡を全体に広げます。(泡立ちの良い液体せっけんが便利です)
  2. 右の手のひらを左の手の甲に乗せ、指を組んで泡をすりこみます。これを左右交互におこないます。
  3. 手のひら同士をこすりあわせます。
  4. 指を組んで、指の間にも泡を行きわたらせます。
  5. 右の手のひらで左の親指を握って回すようにこすります。左手も同様です。
  6. 握った右手で左手のひらを時計回り、反時計回りにこすります。左手も同様です。
  7. お湯で泡をよく洗い流し、使い捨てタオルなどでよくふきます。
  8. この手順をもう一度繰り返し、最後にアルコールで手指消毒をして完了です。

外出先での手洗い

家庭では十分な時間をかけて、石けんや消毒用アルコールなどが整った状態で手洗いを行うことができます。

しかし、外出先では手を洗いたいときにトイレや水道がなかったり、石けんやアルコールが備えられていないこともあります。

このような場合に備え、かぜやインフルエンザの流行期には消毒ジェルや消毒シートを持ち歩くのがおすすめです。手洗いができなくても、手指を消毒するとウイルスや細菌の数は大幅に減少します。また、石けんやアルコール消毒が備え付けられていないときにも安心です。外出先では、家庭よりもウイルスや細菌に触れる機会は多くなります。こまめな手洗いや手指消毒をこころがけましょう。

参考文献

  1. [1]東京都健康安全研究センター. "ハンドドライヤーを 正しく使用していますか?" 東京都福祉保健局. _http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/handdry/handdry.pdf_(参照2018-04-07)
  2. [2]東京都衛生局 生活環境部 食品保健課. "洗浄・殺菌に関する実験結果" 東京都福祉保健局. _http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/rensai/files/jikken10.pdf_(参照2018-04-07)
  3. [3]WHO. "Hand Hygiene Technical Reference Manual" WHO. http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/44196/1/9789241598606_eng.pdf(参照2018-04-07)

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