真菌・細菌を知る
2018.04.27

細菌の種類は何種類?その中で人に感染する細菌の種類とは?

ひとことで細菌といっても、その種類は膨大です。しかし、その中で人体に悪い影響をおよぼす細菌はごく一部です。人間に悪さをする細菌の種類を紹介し、それらをどのように対策すればよいか解説していきます。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

メモを取っている研究員の手元

ほとんどの細菌は肉眼で見ることができませんが、どれだけの種類が存在しているのでしょうか。2006年時点で地球上で発見された細菌の種類は約6,800種といわれています[1]。この中の99%は人間と関わることなく存在しています。ほんの一部の細菌、例えば腸内細菌(善玉菌や悪玉菌)は人間と関わる細菌ですが、さらにこの中のごく一部には人間に悪さをすることのある細菌がいます。人間にとって悪い影響を及ぼす細菌の種類にはどのようなものがいるか見ていきましょう。

人間に悪さをする細菌の種類

細菌は単細胞生物の一種であり、自分自身で増殖する力があります。細菌は自然の中でも増殖することができますが、生育によりよい環境を求めて他の生命体に侵入することがあります。そのうち、ヒトに感染するのは全細菌の約1%です。

細菌が増殖するための3条件は、温度、水分、栄養分があることです。この3条件の他にも、細菌は種類によってそれぞれ好む環境があります。ここでは、ヒトに悪さをする細菌がどのような環境を好み、どのような感染対策をすればよいのか詳しくご紹介します。

好気性菌

繁殖するのに酸素が必要な細菌です。糖分や脂質などの栄養素を酸化することでエネルギーを作っています。

代表的なものでは、結核菌や百日咳菌などが挙げられます。

おもな感染対策法
好気性菌は、酸素があるところではどこでも生育します。そのため、日常生活の中で最も感染しやすい細菌です。ヒトに悪さをする好気性菌は、主にヒトの体内で増殖し、感染者の唾液やくしゃみ、せきなどの飛沫の中に潜んでいます。
結核などは、飛沫の中に潜んでいた細菌が、飛沫の水分が蒸発して裸になった状態で空気中を漂います。同じ空間にいる人が吸い込むことで感染しますが、これを空気感染といいます。空気感染対策は、感染者と同じ空間にいないことが重要です。通常のマスクでは細菌の粒子が通過してしまうので、どうしても感染者に近づく必要がある場合には特殊なマスク(N-95マスクなど)が必須です。また、感染者のいた部屋は十分な換気を行いましょう。
一方、百日咳などは感染者の飛沫を吸い込んだり、飛沫が付着したものを触った手で口元や鼻をいじって感染します。これらをそれぞれ飛沫感染と接触感染といいます[2]。飛沫感染対策では、マスクの着用が重要です。飛沫自体は粒子が大きいため、通常のマスクを通過しないので特別なマスクは必要ありません。また、接触感染対策では、手洗いと手指消毒の徹底、ドアノブや電気スイッチなど人の手が触れやすい場所の消毒などが挙げられます。
どの感染経路をとる細菌でも、周囲から完全に排除することは困難です。感染対策では,いかにして細菌を取り込まないかがポイントとなるのです。

嫌気性菌

酸素がなくても生育できる細菌です。細胞内での発酵によって生育に必要なエネルギーを得ています。

嫌気性菌には、酸素があると生育できない偏性嫌気性菌と、酸素があっても生育できる通性嫌気性菌があります。酸素をどの程度嫌うかは、細菌によって異なります[3]。腸内細菌の多くは偏性嫌気性菌であり、他にも破傷風菌やボツリヌス菌が挙げられます。一方、一般的な多くの細菌は通性嫌気性菌に分類されており、ヒトに悪さをするものではウェルシュ菌や腸球菌などが挙げられます。

おもな感染対策法
嫌気性菌の多くは、ヒトに害を与えないものです。むしろ、腸内環境を整える善玉菌などのほとんどは嫌気性菌であり、ヒトのからだに有益な細菌であると言えます。
しかし、中にはウェルシュ菌などのように食中毒の原因となる細菌もいます。これらの細菌は、空気に触れないカレーやシチューなどの鍋の中で増殖を繰り返します。調理するときや再加熱するときは、底までよくかき回して空気に触れさせましょう。

好塩菌

生育するのに一定以上の塩分が必要な細菌です。必要な塩分の濃度は細菌によって異なります。

主に海産物に付着しており、代表的なものでは、コレラや腸炎ビブリオなどの食中毒の原因となる細菌が挙げられます。

おもな感染対策法
魚介類は調理前に流水でしっかり洗って、付着した細菌を洗い流しましょう。また、まな板や包丁を介して他の食材を汚染する可能性があるので、使用後は速やかな洗浄とアルコール消毒などを行います。特に、まな板や包丁を介して好塩菌に汚染された野菜で漬物を作ると、好塩菌が大繁殖することがあります。まな板シートを活用して、魚介類と生食や漬物にする食材の調理器具を分けることもおすすめです。
魚介類は必ず冷蔵庫か冷凍庫で保管し、長時間常温に置くのはやめましょう。夏場は買い物からの帰宅途中でも細菌が繁殖することがありますので、氷やドライアイスなどで適切な温度管理を図りましょう[4]。

抗菌薬の使用について

細菌に対する抗菌薬には様々なものがあります。抗菌薬が開発される以前は、細菌感染症で命を落とす人もまれではなく、抗菌薬の開発は医学の大きな進歩でした。風邪をひくと、すぐに抗菌薬を飲みたくなる人もいるでしょう。しかし、抗菌薬は細菌にのみ有効で、ウイルス性の感染症には効果がありません。また、抗菌剤にはそれぞれどのような細菌に効くか決まっており、的外れな種類の抗菌薬を飲んでも効果はないのです。

抗菌薬は、善玉菌のようにヒトが生きるうえで重要な役割をする細菌も殺してしまうことがあります。その結果、体内の菌のバランスが崩れ、からだに良くない影響が出ることもあります。もちろん、感染症治療に必要な抗菌薬を使用して、このようなよくない影響が出たのであれば仕方ありません。しかし、抗菌薬の不適切な使用によって感染症治療の効果もなく、悪い影響だけが出ることはできるだけ避けたいものです。

抗菌薬の使用は、必要なときに原因となっている細菌にピンポイントに作用するものを選ぶことが重要です。

以前処方された抗菌薬が余っている、などの理由から自己判断で抗菌薬を使用するのは危険ですからやめましょう。

参考文献

  1. [1]横田明. "微生物分類同定講座 第3回 細菌の種類(概論)" MMID微生物分析サービス. https://www.mitsui-norin.co.jp/mmid/knowledge/yokota/index3.html(参照2018-04-06)
  2. [2]山口県健康増進課母子保健・感染症班. "百日咳について" 山口県感染症情報センター. _http://kanpoken.pref.yamaguchi.lg.jp/jyoho/page5-7/page5-7-2.html_(参照2018-04-15)
  3. [3]三鴨廣繁. "嫌気性菌感染症" 感染症TODAY. _http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-120718.pdf_(参照2018-04-15)
  4. [4]東京都福祉保健局. "腸炎ビブリオ" 食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト _http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/tyouen.html_(参照2018-04-15)

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