真菌・細菌を知る
2018.04.27

細菌感染が起きるワケとは?細菌の生存戦略を紐解く!

感染症の原因の1つである細菌とはどういうものなのでしょうか。細菌による感染症を予防するために、細菌が人に感染して人体に悪影響をおよぼす理由とそのメカニズムを知ることが有効です。ドクター監修のもとわかりやすく解説します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

腕を組みながら立っている白衣をきた女性

感染症を起こす原因としては細菌やウイルスを思い浮かべる方が多いと思いますが、細菌とウイルスでは人に感染する理由や目的がまったく異なります。ここでは、細菌が人に感染する理由や細菌の特徴を知っていただき、細菌による感染症の予防に役立ててください。

細菌のヒトへの感染はなぜ起きる?

現在、地球上で確認されている細菌は約7,000種あり、様々な感染症の原因となります。抗生物質が開発される以前は、細菌による感染症で命を落とすことも稀ではありませんでした。医学が進歩した現代でも、細菌による感染症で重篤な状態となり、死に至る人もいます。細菌はなぜヒトに感染するのでしょうか。その理由を詳しく見てみましょう。

細菌はヒトに感染しなくても単体で繁殖できる

感染症の主な原因はウイルスと細菌です。ウイルスは、遺伝子情報が組み込まれた核酸と、それを覆うたんぱく質や脂質のみを持ちます。そのため、一人で増殖することができず、他の生命体に感染して、増殖に必要な物質を奪い取って増殖します。一方、細菌は単細胞生物であり、適した環境があれば自分自身で増殖する能力を持ちます[1]。

ヒトに感染して繁殖するのはそこに住みやすい環境があったから

細菌がヒトに感染するのは、ウイルスのように増殖することが目的ではないのです。細菌が繁殖するために必要な条件は以下の3つです[1]。

  • 温度
  • 栄養分
  • 水分

細菌は、接触感染や飛沫感染、空気感染などによってヒトに感染します。ヒトの体内に入り込んだ細菌は、3つの条件が揃えばヒトの体内で繁殖します。細菌が繁殖するための適温は35度前後であり、ヒトの体温はまさに適温といえます。また、ヒトの体内にはたんぱく質や糖分などの栄養分や水分が豊富なため、細菌の繁殖には最適な環境なのです。

このように、細菌は繁殖をするためにヒトに感染するのではなく、たまたま侵入したヒトの体内が生存に適した環境であるため、そこに住み着いて繁殖を繰り返すのです。

細菌の生存戦略

細菌は、温度、栄養分、水分の3つの条件が揃った場所を求め、飛沫や飛沫核の中に潜んで色々な場所に移動します。移動した場所に3条件が揃わなければ、その細菌は死滅します。一方、3条件がうまく揃った場所に移動できた細菌は、そこで次々と増殖を繰り返し、コロニーを形成します。

感染対策~生存戦略をブロック~

細菌感染対策には様々な方法がありますが、このような生存戦略をブロックすることが必要です。細菌が繁殖するための3条件をヒトの体内から除くことはできないので、最も重要な対策は細菌を体内に持ち込まないことです。そのためには、以下のような対策が有効です。

  • マスクの着用
  • 手洗い、手指消毒の徹底
  • 手すりやドアノブなどのヒトの手が触れやすい部分の消毒

また、細菌が原因になる食中毒などの予防には、3条件のうち温度と水分を除くことが必要です。細菌の生活に必要な資源がなければ侵入することはありません。それには、以下のような対策が有効です。

  • 食品は冷蔵庫や冷凍庫で保存する
  • 生鮮食品は水分をふき取って保存する
  • 調理器具は使用後、しっかり洗浄し、乾燥させる

いかがでしょうか。細菌の生存戦略を知れば、自ずと感染対策で気を付けるべきことも分かってきますね。日ごろの感染対策にぜひ役立ててください。

参考文献

  1. [1]Dan L.Longoほか.ハリソン内科学 第4版 メディカル・サイエンス・インターナショナル 2013;886-896

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