真菌・細菌を知る
2018.04.27

真菌による感染症とは?真菌類の構造、細菌との違いは?

感染症の原因にはウイルスや細菌だけでなく、真菌によって引き起こされるものがあります。真菌とはどういうもので、どんな特徴があるのでしょうか。真菌が人に感染して人体におよぼす影響と予防方法を解説します。

監修医師

監修 内科医 公衆衛生医師  成田亜希子 先生

頭に手をあてている女性

真菌とは微生物の一種です。カビや酵母、きのこ類も真菌の仲間に含まれます。酵母やきのこと聞くと食べもののイメージが強いでしょう。カビにもチーズの熟成に使われる種類があり、食べられるものがあります。一方で感染症や中毒症、アレルギー反応を起こすことがある有害な種類もいます。真菌が引き起こす病気を防ぐために真菌の特徴を解説します。

真菌の構造

真菌の仲間は多種多様で、推定150万に及ぶ種類がいるとされています[1]。しかし、真菌の基本構造はどれも同じです。真菌の細胞は、一番外側に細胞壁があり、細胞膜に包まれた細胞質があります。細胞質の中には、膜に包まれた核があり、核には染色体DNAが含まれています。核が膜に包まれている点で、人と同じ真核生物に分類されます。また、細胞質内には核だけでなく、ミトコンドリアなどの多くの小器官を持ち、高等な生物であるといえます。

ちなみに、同じく「菌」がつくものとして細菌がありますが、細菌は真菌と基本構造が大きく異なります。最も大きな違いは、細菌には核を包む膜が存在せず、DNAが細胞質の中に裸の状態で散在していることです。核が膜に包まれていないという点で、細菌は原核生物に分類されます。

真菌が原因で起こる病気

真菌は、酵母やきのこなどのように食べ物として重宝されるものもあります。しかし真菌の中には、私たちのからだに害を及ぼすものも存在します。どのような種類の真菌が病気を引き起こすのか、詳しくみていきます。

真菌感染症

真菌感染症とは、真菌がからだの中に入り込んだり、皮膚や粘膜に付着することで様々な症状が引き起こされる病気のことです。真菌感染症には病変が発生する場所によって、以下の2つのタイプがあります。

表在性真菌症
病変が、皮膚から皮下組織までの表在部分に止まるタイプの真菌感染症です。

<代表的な感染症>

水虫(白癬)、性器カンジダ、癜風、スポロリコーシス、黒色真菌症

真菌はスリッパやタオル、足ふきマットなどを介して感染します。家族内に感染者がいるときは、それらの共用は控えましょう。外出先で不特定多数の人が使用するスリッパを履くときには、靴下を着用するとよいです。また、真菌は湿度が高く、汗などの老廃物が多い場所を好む性質があります。真菌が皮膚に付着したとしても、足の指の間や性器などを清潔に保ち、蒸れを防ぐとこで増殖を抑えることができます。

深在性真菌症
病変が肺や肝臓など、からだの深部にある臓器に生じる真菌感染症です。深在性真菌症は正常な免疫力がある人が発症することは少ないです。多くは、ステロイドや抗リウマチ薬、抗がん剤などの使用で免疫力が低下しているときに発症します。また、白血病やHIV感染症などの免疫力が低下する病気の初発症状であることも稀ではありません

<代表的な感染症>

アスペルギルス症、カンジダ肺炎、クリプトコッカス症、ムコール症

深在性真菌症は免疫力が低下しているときに起こりやすいので、十分な睡眠や休息を取る、食生活に気を付けるなどの対策で免疫力を向上させることも予防法の一つです。しかし、免疫力の低下は薬の副作用や病気が原因のことが多く、一般的な対策だけで免疫力を向上させるのは困難です。真菌は生活の中でいたるところに潜んでいますので、完全に排除することはできません。免疫力の低下が予想される人は、廃屋や屋根裏などの真菌が多く潜んでいそうな場所へは立ち入らないことが必要です。

また、慢性閉塞性肺疾患などの肺の病気がある人は、免疫力が正常でも、肺に深在性真菌症を発症することがあります。真菌が多くいそうな場所は避けるのはもちろんのこと、外出時にはマスクを着用するなどの対策をしましょう[2]。

マイコトキシン中毒

マイコトキシンとは、カビの代謝物に含まれる物質のことです。マイコトキシンはヒトや動物に有害な物質で、急性症状として、吐き気や嘔吐、下痢、造血機能異常などの症状が現れます。また、長期間摂り続けると、がんや腎障害、肝障害などの重篤な症状を引き起こすことがあります。マイコトキシンは、熱や環境の変化に強く、カビが死滅しても毒性を保ち続けます。多くは、穀物や牛乳などの食品に付着したマイコトキシンを口にすることで発症します[3]。

現在、日本国内ではすべての食品に対してマイコトキシンの含有量の基準が定められています。ですから、国内で流通している食品を食べてマイコトキシン中毒になることはほとんどありません。一方、東南アジアやアフリカなどでは規制が十分でない場合があります。さらに、温暖で湿度が高い気候のため、カビが繁殖しやすく、農作物が汚染されている可能性があります。このような旅行先では、とうもろこしやナッツ類、穀物などの食品は控えた方がよいでしょう。

真菌アレルギー

真菌アレルギーとは、真菌が原因で発症するアレルギーの総称です。真菌がアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)となって気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性肺アスペルギルス症、夏型過敏性肺炎などが挙げられます[4]。

真菌アレルギーを予防するには、アレルゲンとなる真菌を生活の中から排除する必要があります。特に夏は真菌が繁殖しやすくなりますので、押し入れや納戸などの高温多湿になりやすい場所はこまめに換気や掃除を行うようにしましょう。また、真菌が多く潜んでいると予想される場所に立ち入るときはマスクを着用して真菌の吸い込みを防ぎましょう。

参考文献

  1. [1]R.T. Watson et al. Global Biodiversity Assessment Sammary for Policy-Makers vol.1. CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS 1995
  2. [2]千葉大学真菌医学研究センター. "目で見る真菌症シリーズ11" 千葉大学真菌医学研究センター. _http://www.pf.chiba-u.ac.jp/medemiru/me11.html_(参照2018-04-10)
  3. [3]小岩政照. マイコトキシン中毒が疑われた乳牛の発生状況, マイコトキシン 2004; 54(2): 107-112
  4. [4]秋山一男ほか. 真菌とアレルギー疾患, 日本医真菌学会雑誌 2009; 50(2): 123-128

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