ウイルスを知る
2018.03.26

インフルエンザの予防接種の効果とは?A型・B型で症状に違いはある?

インフルエンザに感染したくないとき、予防接種を受けることが大事と知っている人は多いと思いますが、予防接種はどのくらい効果があるのでしょうか。予防接種を受ける理由や効果を解説し、そのほかの予防法についても紹介します。

毎年、寒い季節が近づいてくると、今年のインフルエンザの流行予測などインフルエンザに関する情報がTVやインターネットなどで叫ばれ始めますよね。毎年予防接種を受ける人は多いですが、予防接種の効果はどの程度なのでしょうか。予防接種以外にできる感染予防方法についても紹介していきます。

インフルエンザの予防接種は効果ある?

毎年会社で予防接種を受けている方もいれば、個人で自分やお子さんの感染予防として予防接種を受けられる方もいます。しかし、予防接種を受けてもかかる場合があると聞いたことがある人もいるかもしれません。そこで、インフルエンザの予防接種の目的や効果について解説します。

インフルエンザの予防接種は重症化を防ぐ効果がある

インフルエンザの予防接種は、完全に感染を予防するものではなく、インフルエンザの発病を抑えたり、発病しても重症化を防いだりする効果があります。65歳以上の方を対象にした調査では、予防接種を受けずにインフルエンザになった人の34%~55%は、予防接種を受けていればインフルエンザにかからずに済んだこと、また予防接種を受けずにインフルエンザで死亡した人の82%は、予防接種を受けていれば死亡せずに済んだことなどが報告されています[1]。

予防接種を受けられない人の感染リスクを下げる

過去にワクチン接種でアレルギー反応を起こしたことがある、医師から受けない方がいいと言われたなどの体質的な問題で予防接種を受けられない方もいます[1]。ワクチン接種者が増えれば増えるほど世の中全体の感染リスクが低下し、感染者数は減ることになります。その結果、予防接種を受けられない方の感染リスクの低下にもつながります。

そもそも日本で流行しているインフルエンザウイルスの種類は?

近年日本で流行しているインフルエンザウイルスはA「H1N1」亜型、A「H3N2」亜型(香港型)、B型の3種類があります。インフルエンザウイルスは毎年世界中で流行しますが、国や地域、年によってウイルスの型や亜型は異なります。

インフルエンザウイルスの型・亜型とは?

インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型の3つの型に分けられますが、ヒトに感染するのはA型とB型の2種類です。A型とB型にはHA(ウイルスがヒト細胞に吸着・侵入するための物質)とNA(増殖したウイルスが細胞外に結合せずに存在するための物質)の2種類の糖蛋白があり、さらにA型にはHAの中にHA1~HA16の16種類、NAの中にNA1~NA9の9種類が存在し、このHA1やNA1などの組み合わせを亜型と呼んでいます。亜型によって感染性などが変化するのも特徴です。

インフルエンザA型とB型の特徴

インフルエンザA型は多様な亜型を持ち、変異を起こしやすい特徴があるため免疫機能が対応できず流行しやすいといえます。一方、B型は変異しにくく一度免疫ができればかからないため流行しにくいのですが、流行しないことでB型の免疫を保有する層が少なくなります。つまり、感染リスクの高い層が増えるため結果的には流行することにつながります[2]。また、A型は高熱が出やすい、B型は胃腸症状が出やすいなど言われることもありますが、型の違いによって症状が違うわけではありません。

ちなみに、インフルエンザの代表的な症状を以下にあげます。

  • 発熱(38℃以上)
  • 頭痛
  • 結膜充血
  • 悪寒
  • 全身倦怠感
  • 筋肉痛・関節痛

どのウイルスの型にかかるかは人それぞれであり、その年に流行している型ではないものにかかることもあります。また、年ごとに流行するウイルスは変わるので毎年ワクチンを接種するようにしましょう[3]。

予防接種以外の感染予防法

予防接種はインフルエンザの有効な予防方法ですが、完全に感染を防げるわけではありません。日々の生活の中でも以下にあげることを心がけることでさらに感染リスクを下げることができます[3]。

手洗い

基本的なことですが、感染症の予防には手洗いが効果的です。流水や石鹸で手洗いをすることで手指など体についたインフルエンザウイルスを除去する有効な方法であり、インフルエンザだけでなく感染症対策の基本です。

うがい

インフルエンザ予防効果は証明されてはいませんが、うがいによりのどの粘膜を加湿すると、ウイルスが粘膜に付着しにくくなることから、かぜの予防には有効です。外出から戻ってきたときは手洗いとセットでうがいを習慣化しておきましょう[4]。

マスクをつける

咳やくしゃみなどの飛沫が直接付着することを防御するうえでマスクの着用はある程度有効です。不織布(ふしょくふ)製のマスクを着用するようにしましょう。

人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザが流行してきたら人混みや繁華街への外出を控えましょう。特に高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調が悪い・睡眠不足の方などは抵抗力が弱りやすいため注意してください。

空気の入れ替え

インフルエンザウイルスは外の空気から家の中に入ってくるのではなく、人によって持ち込まれることがほとんどです。ウイルスが持ち込まれた家の中が密閉状態だと、ウイルスはその中で2~8時間生存すると言われています。窓を開けて空気の入れ替えをすると家の中のウイルス量は減少し、感染する機会が減ります。空気の入れ替えを行う目安としては2~3時間に1回実施することが推奨されています[5]。

空気の加湿

空気や部屋が乾燥していると、気道粘膜の防御機能が低下しインフルエンザにかかりやすくなります。また、インフルエンザウイルスは湿度が高い場所に弱いため、加湿器や部屋干しを活用して適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

インフルエンザウイルスと湿度の関係については『インフルエンザ感染予防に適切な湿度とは?おすすめの加湿方法』をご覧ください。

除菌

人がよく触ると考えられる箇所(ドアノブ、テーブルなど)に付着したウイルスによる接触感染を予防するためには、アルコールを含む消毒薬でこまめに除菌しましょう。その場所に触れた手も携帯用のアルコールジェルなどで除菌するようにしておくとよいでしょう[5]。

参考文献

  1. [1]インフルエンザ予防接種ガイドライン等検討委員会. "インフルエンザと予防接種" インフルエンザ予防接種ガイドライン等検討委員会. http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/tp1107-1f.html(参照2018-03-09)
  2. [2]海老原格ほか. "インフルエンザの基礎知識" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File01.pdf(参照2018-03-09)
  3. [3]厚生労働省. "インフルエンザQ&A" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html(参照2018-03-09)
  4. [4]首相官邸. "インフルエンザ対策" 首相官邸. https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/influenza.html(参照2018-03-09)
  5. [5]厚生労働省 健康局 結核感染課. "インフルエンザの感染拡大を防ぐために 新型インフルエンザ等から高齢者を守る方法を学ぶ" 厚生労働省. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/0311_korosho.pdf(参照2018-03-09)

「ウイルスを知る」の関連情報